TOC(制約条件の理論)
TOCとは
TOC(Theory Of Constraints:「制約理論」または「制約条件の理論」)は、1980年代前半イスラエル出身の物理学者、ゴールドラット(Eliyahu M. Goldratt)博士が提唱されました。
「会社の生産性はボトルネック工程の能力以上は絶対に向上しない」至極当たり前の考え方ですが、この原理原則こそが、生産性を飛躍的に高め、在庫、仕掛を劇的に減少させる鍵なのです。TOCを世に広めた小説「The Goal(ザ・ゴール)」は全世界で400万部近を超える大ベストセラー。TOCを導入している企業は世界に名だたる航空機、自動車、半導体、化学、鉄鋼といった企業やアメリカ軍、自治体、医療機関、幼児教育など多岐にわたり、その成果もそれぞれにめざましいものがあります。
TOCは「会社のゴール」の達成を妨げる制約条件(Constraints)に注目し、企業内共通の目標を識別し改善を進める事によって企業業績に急速な改善をもたらします。
TOCの概念
プロセスを最適化する手法で、全体としてキャッシュフローを生み出すことを目的に、ボトルネックとなる工程に注目しスループットを最大化するための考え方
- キャッシュフローは生産に関わる、売上までにかかる費用全てのことです。
- ボトルネックは便宜的に使用する方もいるかと思いますが、TOCにおいてのボトルネックは会社において1つです。ボトルネックは改善すると移動します。
- スループットは利益のことです。他の言葉に置き換えると成果物、生産性、GDPとなります。
ボトルネック
みなさんは、改善をしたと思ったのに今一つ効果がでなかった、やり方が以前の状態に戻ってしまったという経験はありませんか?それは部分最適を行っただけで全体最適を行っていなかったからです。ボトルネックに着目しない改善は効果がほとんど現れません。組織の生産性はボトルネックで決まります。
社員全員が100%の力で働く会社は効率が悪く倒産に向かいます。上記の図はボトルネック以降の工程はボトルネックの生産分しか処理できないことを表しています。つまりボトルネックの工程は100%の力で取り組み、他の作業は80、70、60%の力で仕事をした方が効率が良いのです。他の工程はその分早く帰って英気を養ったり、新しい事業の打ち合わせを行ったり、繁忙期にボトルネックを助けるといったことが可能となります。むしろ余裕のある会社の方が儲かるのです。