実稼働時間と待ち時間
トヨタ生産システムの指導者は、「トヨタですら実稼働時間と待ち時間は1:300である」と言っています。そして人間の潜在的能力は仕事の中では10~15%ほどしか活かされていない、つまり企業組織は付加価値に変換できるエネルギーを、ほんのわずかしか使ってはいないということになります。
TOCで仕事に余裕ができたという企業は多いです。しかしながら、その余剰時間は適量はBufferとして使用するとしても、余りある余剰時間を社員がどのように活かすかで企業の業績は大きく変わります。経営者ではなく社員が自主的に行動するためには、社員の側のメリットが必要になり、同時に企業側も維持するためのメリットも必要になります。より付加価値を増大しようとすれば、双方に明確な数値的メリットが必要となることは当然のことです。
情報は精度よりもタイミング
情報は精度よりもタイミングを重視しましょう。
情報化社会といわれて、とにかく正確な情報が大事だと勘違いされてきました。
そのために完璧な情報を待っていると「もう納期が目の前にきてしまった」ということがあります。こうなると「とにかくやるしかない!」となり、情報の遅れがより大きな混乱をもたらします。
まずは大胆な仮説を立てること、そこに向かっていく中で集まってくる情報を加えながら改善していくことでしかこの不確実な現実に対応することができないのです。
精度を求めるあまり、機を逸してはならない。
仮説は過去数年間の数字や傾向を見ながらの仮説でなければ科学的とは言えません。
商売で大事なこと、まずは値決め
値付けほど難しいものはありません。
稲盛和夫さんも値決めは経営であると言っています。
会社の存続を制するのは値決めです。利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか、その価格設定は無段階でいくらでもあると言えます。
値決めは自分と相手との付き合う時間に関係していると思います。長い目で見て、自分と相手が良い付き合いを続けていける値段が好ましいと言えます。
いつも定価が正しいとは限らりません。しかし目先の利益を得ようと値引きをして、他の長い付き合いのお客様との関係を裏切ってはいけません。また法外な値段は長続きはしません。
値決めは損益感覚だけでなく、時間軸と関係性を考慮しなければ正しいとはいえません。
ボトルネックの活用
STEP1
制約資源を見つける、確認する(識別、根本原因の発見)
STEP2
制約となる工程(方針、市場等)をどのように活用するかを決める、方針制約は廃棄、除去する
STEP3
制約プロセス以外のプロセスを制約プロセスに従属させる
STEP4
制約となる工程のキャパシティを向上させる
STEP5
ここまでのステップで制約と認識させていたステップが制約でなくなったら、面倒がらずにステップ1に戻る
制約の種類
・物理制約
設備能力や作業人員などの物理的な制約、3つの制約の中では一番見つけやすい制約でもある。また物理制約ばかりに注力しすぎて以降の2つの制約を見落とすこともあるので注意が必要。
・方針制約
会社のルールや決まり・習慣・評価基準など、正しい行動が出来ない状態。例えばうちは何年もこのやり方だったからなあ、前任者から引き継いだので、前例がない、私にしかできません、うちの業界はこうだからなど。
・市場制約
供給能力(設備能力・作業人員など)は十分にあるが、需要が少ない(受注がない)状態、また需要はあるが材料を調達できない状態など。
これら3つの制約=ボトルネックは企業活動の中で必ず存在します。社内になければ社外に存在します。
変動性と従属性
・変動性 ー ばらつき
・従属性 ー つながり
会社や組織はばらつきとつながりがあるためバランスをとることはできません。バランスを取るのではなくボトルネックに集中します。バランスを取ろうとして社員が100%で働く会社は倒産に向かいます。
そちらの説明は下記を参照してみてください。
どんなに頑張っても仕事には、変動性が発生します。例えば社員の体調だったり設備の稼働だったりです。そして変動性と従属性があるため、遅れた仕事は取り戻すことができません。取り戻すには普段の何倍もの労力を使うことになります。
変動性はコントロールすることができないので、それを受け入れボトルネックに集中することが解決方法となります。ボトルネックの活用方法については別の記事で説明します。