TOC ー 企業のザ・ゴール
企業の目的は現在から未来に渡ってお金を儲けることです。日本ではお金を儲ける(利益を出す)ことに負い目を感じる人もいますが、それは社会に貢献しているということなので負い目に感じる必要はありません。利益を他の言葉に置き換えると付加価値です。
ただし利益出すには条件があります。それは顧客と従業員と株主(会社)の全てを満足させる必要があるということです。顧客満足度(CS)や従業員満足度(ES)などの言葉が流行った時期もありましたが、顧客だけを向いていても従業員だけを向いても株主だけを抜いても利益は出ません。一時的に利益は出ても継続しての確保は難しいでしょう。
これら3つを成り立たせることが重要です。
もう一度書きますが、企業は利益を出しましょう。社会にも貢献しています、従業員にも還元できます。会社も継続することができます。もしこれら3つを成り立たせない会社経営であれば世の中に需要がない会社ということです。厳しいようですが業態を変えるか会社を畳むことをお勧めします。
- 売り手よし
- 買い手よし
- 世間よし
この言葉に商売の基本が詰まっています。
売り手よし
会社を継続することができるか、従業員は十分に生活できるか
買い手よし
消費者が満足するか、他の人に勧めたくなるようなサービスか
世間よし
世の中の成長に寄与しているか、環境を考えているか、取引先(仕入先)も満足しているか等
これらのことを大切にしてみなさんいっぱい儲けましょう。
TOC(制約条件の理論)
TOCとは
TOC(Theory Of Constraints:「制約理論」または「制約条件の理論」)は、1980年代前半イスラエル出身の物理学者、ゴールドラット(Eliyahu M. Goldratt)博士が提唱されました。
「会社の生産性はボトルネック工程の能力以上は絶対に向上しない」至極当たり前の考え方ですが、この原理原則こそが、生産性を飛躍的に高め、在庫、仕掛を劇的に減少させる鍵なのです。TOCを世に広めた小説「The Goal(ザ・ゴール)」は全世界で400万部近を超える大ベストセラー。TOCを導入している企業は世界に名だたる航空機、自動車、半導体、化学、鉄鋼といった企業やアメリカ軍、自治体、医療機関、幼児教育など多岐にわたり、その成果もそれぞれにめざましいものがあります。
TOCは「会社のゴール」の達成を妨げる制約条件(Constraints)に注目し、企業内共通の目標を識別し改善を進める事によって企業業績に急速な改善をもたらします。
TOCの概念
プロセスを最適化する手法で、全体としてキャッシュフローを生み出すことを目的に、ボトルネックとなる工程に注目しスループットを最大化するための考え方
- キャッシュフローは生産に関わる、売上までにかかる費用全てのことです。
- ボトルネックは便宜的に使用する方もいるかと思いますが、TOCにおいてのボトルネックは会社において1つです。ボトルネックは改善すると移動します。
- スループットは利益のことです。他の言葉に置き換えると成果物、生産性、GDPとなります。
ボトルネック
みなさんは、改善をしたと思ったのに今一つ効果がでなかった、やり方が以前の状態に戻ってしまったという経験はありませんか?それは部分最適を行っただけで全体最適を行っていなかったからです。ボトルネックに着目しない改善は効果がほとんど現れません。組織の生産性はボトルネックで決まります。
社員全員が100%の力で働く会社は効率が悪く倒産に向かいます。上記の図はボトルネック以降の工程はボトルネックの生産分しか処理できないことを表しています。つまりボトルネックの工程は100%の力で取り組み、他の作業は80、70、60%の力で仕事をした方が効率が良いのです。他の工程はその分早く帰って英気を養ったり、新しい事業の打ち合わせを行ったり、繁忙期にボトルネックを助けるといったことが可能となります。むしろ余裕のある会社の方が儲かるのです。
働き方の見直しによる効果まとめ
政府の少子化対策の誤った分析と対策
政府の少子化対策は2018年4月に働き方改革関連法案が可決されるまで女性が家庭にいるということを前提としていました。しかし日本では核家族化が進んでいます。原因の一部とその変化は下記の理由があります。
・地方のインフラ需要の減少
・仕事を求め都市部へ
・そして核家族化
下記の図は東京との人口推移です。1960年代に人口が一気に増えました。また線は緩やかに見えますが2000年以降に約200万人ほど増えています。
確かに家庭内収入が多ければどちらかが家庭にいた方が効率はいいでしょう。また二世帯で暮らしていれば祖父母が子どもの面倒を見ることができます。しかし現状日本では核家族化が進み、人口構造の変化とともに家庭内収入も減少しています。祖父母が子どもを見ることもなかなか難しい状況です。人口構造や人口減少が収入に及ぼす影響は下記の記事を見てみてください。
核家族で家庭内収入が減少している中では共働きをしなければ子育ての費用の負担も難しい状況となっています。今日では教育費(学費や塾代)も過去と比べると高くなっています。
以上のことから先進国や核家族化の進んだ地域では、保育園の整備など仕事と家庭の両立環境を整備した国かつ女性の労働力率が高いほど出生率が高い傾向があります。
下記の図は夫の育児時間による出生の状況です。まず前提は核家族です。その場合夫が家事・育児に参画しない場合は、ほとんど2人目が生まれていません。これは妻が1人での孤独な育児によりトラウマとなることが原因です。反対に少しでも育児に参加した場合は出生数が上がります。
これらから分かることは働き方を見直し、働きたい人が働きやすい社会を作ることが、会社にとっても人材不足を解消でき、家庭でも家庭内収入があがり、政府としても出生率があがるので、すべてにおいてメリットがあります。
要介護者数と介護離職者の増加
下記の図は2020年の日本の人口ピラミッドです。
2020年のデータでは70歳前後と45歳前後に人口の山があります。
・70前後 団塊の世代
・45歳前後 団塊Jr.
実は働き盛りの男性が両親の介護のために離職する事例が増えています。身も蓋もないのですが今時点では働き盛りの男性に会社を辞められると会社はすごく大変ではないですか?決して女性を軽視している訳ではありませんが、現状の日本では就業者は男性が多く、重要なポストを任されている割合が多いです。
要介護者は60代後半から70代前半で跳ね上がる
これは2015年あたりのデータなので、現在70歳を超えている方は元気な方が多いと思いますし、多少後ろにずれ込んでいくと思われます。とは言え介護は重篤化してから平均10年なので離職して専念は現実的ではなく、両立が重要となります。
・介護離職は年間10万人を超えたが、対策を打たなければこれから増えると予測される
(2015年時点)
・特別養護老人ホームの待機人数は52万人
・待機児童は5.5万人(2018/4時点)
別の観点から見てみると、これから団塊の世代の方々がたくさん亡くなる時期が来ます。その時は食品などを中心に売上が減少すると考えられます。企業は今のうちから人口減少に対する経営戦略を練っておく必要があります。
日本の労働生産性
日本はGDPは高いのですが一人当たりのGDPは先進国の中では低いです。(利益÷時間=1時間当たりの生産性)
日本がGDPが高いのは当たり前なんです。世界的に見ても人口が多いので国内総生産は高くなります。
残念ながら日本は先進国の中でもっとも時間をかけて仕事し、付加価値を生み出す力が低い国なのです。
ただそこからは、消費が生まれれば、お金が回れば景気は良くなるということも分かります。これから基礎消費が少なくなる中、世の中のお金を回すにはどうしたらよいか考える必要があります。
ちなみにブルーカラーと呼ばれる工場系の会社は日本でも比較的、効率的に働いています。ホワイトカラーと呼ばれる頭脳労働者の生産性が全体的に低いです。
・ブルーカラー
現業系・技能系の現場において青襟である作業服を着用して肉体労働している人
・ホワイトカラー
白襟であるワイシャツを着用して頭脳労働している人
効率だけを求めての仕事も楽しくないかもしれませんし、全てとはいいませんがやはり日本はもう少し生産性を上げる必要があります。無駄な会議を止めるとか...。これらを改善したとき社会問題のかなりの部分が改善されると考えられます。
その改善部分についてはまた後程。